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  • 執筆者の写真EXE Gakuenkai

良い塾の見つけ方1

更新日:3月9日

 この道30年の塾講師が「僕が受験生の親なら」を語る 



 僕が塾を開いている大泉学園地区だけでも、全国的に名前が知られている超大手塾から、僕がやってるような超小規模な私塾まで、塾と名の付くものは星の数ほどあって—僕にはそう感じる—、親の立場として子供を塾に入れるとしたら、いったいどこの塾にしたらいいのか、きっとすごく迷うことになるだろうと思います。今回は「良い塾の見つけ方」として、子供の塾を選ぶ際のポイントを、塾講師である僕が「もし僕が受験生の親なら」という視点で書いてみようと思います。“だから僕の塾に来て”という宣伝ではなくて、“こんな塾でなければ”という自分への戒めとして書いてみます。


無料体験授業の受け方

 子供を塾に入れようというときには、「無料体験受講」を経てから入塾という流れが一般的です。そして親御さんとして、最終的に入塾を決定する際の判断基準は、地域やネット上の評判などの情報を踏まえつつも、やはり、その「体験受講」を通して得られたお子さんの様子や感想が大きなウェートを占めることになります。「わかり易かった」「楽しかった」という子供の感想は塾を決めるうえで欠かせない要素であり、逆に「難しい」「ムリ!」という否定的な感想については、そのまま無理強いして入塾させても良い結果が望めないので、入塾を見合わせるのが賢明かもしれません。


 とは言え、あくまで小中学生の感想ですから、ただ1度きりの体験で決断するのは早計です。仲のいい友達が一緒だからとか、先生がカッコよかったから、と学力向上という主眼から外れた要因が「良かった」という感想に集約されている可能性もあります。「ムリ」というのは、予想外の宿題の多さへの逃げ口上かもしれません。少なくとも3・4回の体験受講を通して、子供の学習姿勢の変化を見極めることが大切でしょう。

授業を受ける中学生

 僕が親だったら、体験受講を始める前に、「最低3回は必ず通うこと」「出された宿題は、(できる範囲で)必ず取り組むこと」を子供と約束します。宿題にしっかり取り組むのは、宿題の量に対する子供の適性を確認するだけでなく、取り組んだ宿題に対する塾側の対応を確認するためにも大切です。宿題を出すだけ出して、簡単な答え合わせだけで終えてしまい、解けなかった質問の時間も取らない、僕はそんな塾講師をたくさんみてきました。


 そして体験の終了後に、じっくり子供の意見を聞いて、あわせて「宿題の量」や「担当する教師の様子」、「塾側の意見」、それから「授業料」などを総合的に勘案して、判断することでしょう。そのためにも、親として一度は塾に足を運ばなければなりません。体験後であれば、「担当する教師の様子」と「体験中の子供の様子」や「塾側の意見」が、まとめて確認することができそうですね。


友達と通塾 —友情は学校で育もう—

 どこかの塾に入る際の最初のきっかけは、「子供の意向」と「親の意向」のいずれかが考えられます。子供の意向である場合、大概は「○○ちゃんが行ってるから」となります。とても自然な動機だし、その友達が相当な成績上位者であるなら、良い影響を受けて、よきライバルとして高め合うことができるかもしれませんね。


 ただし、そのためにはこれから入塾する子供自身もある程度の成績上位者であるか、相応の学力を持っていなければなりません。すでに手が届かないほど上位者が塾内の友達だとしたら、挫折感ばかりを味わって「高め合う」ことはできません。


 また友達が「成績上位者」という情報は、親としてしっかり確認する必要があります。よく聞いてみたら自分の子供より少し上位なだけで、受験生全体でみると決して「成績上位」ではない可能性は十分にあります。


 成績が振るわない友達同士が、けん制しあいながら勉強を進めていても、決して良い方向に進まないのは自明ですね。親に勉強不足を指摘されても、「だって○○ちゃんより点数良かったし」と言って(言わなくても心の中で)、自分なりの妥協点を作ってしまい、受験生全体の中での自分の位置を把握できないまま学習を進めてしまったり、その子の本来の可能性を一定のレベルで留めてしまう危険性すらあります。


友達と塾の授業を受ける小学生高学年

 僕は、教室で生徒たちに「塾に来るのに、友達は一人もいないのが理想だ」と常に伝えています。受験勉強というのは、ただひたすらに個人的な作業だからです。社会生活を営む上で、友達は不可欠な存在ですが、こと塾に通う際には「友情はあくまで学校生活の中で育もう」という意識が大切です。


ライバルは未だ見ぬ同級生たちです

 とは言え、友達が一人もいない塾を探すのも大変なことだし、それが塾探しの主眼になるもの変な話です。そもそも「○○ちゃんが通ってるから、自分もその塾に行きたい」というのは、前述のとおり、子供が塾に行ってみようと考える動機としては極めて自然で、むしろ学習意欲の発露として活かしてあげたいところでもあります。また、友達との通塾が行き帰りの安全確保に有効であるというメリットも考えられます。


 僕が親だったら、まず「もし、○○ちゃんが塾をやめても、しっかり通塾できるの?」と確認します。きっと子供はすぐに「できる」と答えるでしょう(笑)。それから、「○○ちゃんがライバルでもなければ、目標でもない」ことをしっかり伝えます。


 理想としては、できるだけ早い段階で、受験者数の多い業者テストを受けさせたい。中学受験なら四谷大塚や日能研、高校入試なら進学研究会の摸試でしょうか。「受験生全体の中での自分の位置」を親子で把握するためです。ライバルは、同じ学区内の何千人という同級生たちなのだと理解するためです。なお、中学生ならば内申(学校の通信簿)を目安として、おもな公立高校の基準との比較も、あらためてしておくべきでしょう。


 それから“当面の目標”を親子間で話し合い、設定します。そして、その達成にむけてしっかり取り組むことを親子間で約束します。“当面の目標“は「偏差値60を今度の学力テストでとる」「内申を5ポイント上げる」など、実現可能ながら決して簡単でもない数値目標を、しっかり話し合って、親子間で共有します。


子供の意向」と「親の意向」

 ところで、「親の意向」で入塾を考えている場合は、どうでしょうか。結論から言うと、「親の意向」だけで子供を塾に通わせることは困難です。学習を進めるのは親ではなく子供自身ですから、その気の無い子供を無理やり入塾させたところで、早晩、学習生活に破綻をきたすことは火を見るよりも明らかです。


 きっかけが「親の意向」であったとしても、塾を決める段階では「子供の意向」に転換しているのが理想です。少なくとも「体験授業だけは全力で頑張ってみる」という子供の意思を確認してから体験授業に臨むことが大切です。


 勉強や塾通いについて後ろ向きになってしまった子供を、前向きにすることは大変難しいですね。ただし、本稿のテーマ「良い塾の探し方」とはいささか論旨が外れるので、別の機会に改めて書きたいと思います。簡単に言えることは、学年が上がるほど親による勉強への動機づけが難しくなるので、低学年のうちに家族内で学習への意識を高めておくこと大切です。


「学習と目標」について

 急に前段と矛盾するようなことを書きます。実は、僕は本来「学習に目標は不要である」と考えています。学習というのは人間の本性に根差した行為であると考えるからです。「なぜだろう、知りたい」「できるようになりたい」という気持ちに理由はいらない、ということです。


 しかし、今の世の中に在っては「そんなの理想論だよ」と言われても仕方のない学習環境に子供たちは置かれているようです。ゲームやSNSなどによって、きわめて簡易に強烈で甘美な刺激が得られ、それらの刺激によって、子供たちが生来持っている学習欲がスポイルされてしまってるからです。


 もちろん、学習欲の発露として自然と学習を進められる子供は、現在でもいます。僕の塾にもいます。彼らは「努力」という言葉とは無縁です。幼児がいつの間にか言葉を覚えるように、小学2年生が笑顔で九九を口ずさむように、自然体で学習に臨みます。そして、面談などでお話を伺うと、そういう子供たちの場合、親御さんがきっちりとスマホやゲームの利用時間を制限しているか、そもそもスマホやゲームを持たせていない場合がほとんどです。


 もし、入塾を検討している子供が、スマホやゲームの使用について、すでに自制ができない状態にある場合は、親子間でじっくり話し合って、使用時間の制限を厳格に決めておく必要があるでしょう。そして、”当面の目標”としての数値目標は、やはり設定するべきだと思います。


ソファーでスマホをいじる小学生

 ただし、親子間で話し合って設定した数値目標も、親にとっては、絶対的なものではなく、あくまで「更新可能な仮の数値」という意識が大切です。言い換えれば、その数値目標に到達するかしないかは、親にとっては特に大きな問題ではない、というこうとです。数値目標は、学習に慣れていない子供の学習意欲を喚起して、維持させるための単なる動機付けであって、それがあるからみるみる成績が上がるというような魔法の道具ではありません。


 もとより親の目標と子供の目標が完全に一致している必要などなく、むしろ、一致していることは危険ですらあります。学習を進めるのは親ではなく、飽くまで子供です。目標になかなか届かず、停滞しているようなとき、目標を共有している親は歯がゆさを感じ、それが高じて、苛立ちすら覚えてしまうかもしれません。親子間の無駄な軋轢を避けるためにも、子供の目標と親の目標は明確に分けておく必要があるのです。


 では、親の目標とは何なのか、入塾させた子供の学習の成果をどこで判断すればいいのか。


親が求めるべきは「子供の変化」です

 入塾させた親が一番注目すべきなのは、何より子供の学習生活の変化です。「机に向かう時間が増えた」、「受験生としての自覚が若干芽生えた」「暗記のための努力をするようになった」「ゲームの時間が減った」など、学習の姿勢が入塾前と比べると変わったならば、通塾を続ける価値はあると思います。塾の指導内容を細かくチェックせずとも、子供の学習姿勢が少しでも好転していれば、その塾の指導力をある程度信用してもいいでしょう。


 ただし、学習生活の変化は2・3か月のスパンで確認しなければいけません。入塾当初は、どんな子でもまあまあ頑張りますからね(笑)。入塾後2・3か月にも、入塾時の変化が継続できていれば、目標の達成に向けて良いスタートが切れたと考えられます。先に「親子で目標を共有」と記しましたが、それは対子供向けの姿勢であって、一旦子供を入塾させた後は、デンと構えて、子供の変化を冷静に観察する姿勢こそが親には求められるのです。


鉛筆を持つ手のアップ

 もちろん、”当面の目標”を子供が達成したときには、手放しで称賛するべきです。そして、”当面の目標”を親子間の話し合いでアップデートしましょう。逆に、学習姿勢への変化は感じられるものの、当初設定した目標への到達が少し厳しいと感じられるときには、”当面の目標”を少し引き下げていいと思います。大切なことは、「常にあなたを見てるから」という親の意識を子供に発信し続けることです。それは言葉の数で示すものではなく、意識であり、その意識から生まれる行動で示すものです。そして、それこそが子供の変化を強力に後押ししてくれるはずです。


 塾の講師である僕がこれを言うと言い訳がましくなってしまいますが、成績が数字として上向いてくるのは、子供によって大きく差があって、あれよあれよと伸びる子もいれば、遅い子になると1年・2年かかる子も実際います。2・3か月通塾しても入塾時に確認した“当面の目標”に到達しなくても、親の立場から見て、学習に対する姿勢に少しでも良い変化が見られたら、親としての最初の目標は達せられたと考えてもいいでしょう。


 逆に2・3か月を経ても、子供の学習姿勢に大きな変化が感じられないとき、僕が親だったら、その塾の退塾や転塾を考えます。それは子供の側に問題が有る・無しにかかわらず、子供の学習姿勢に変化をもたらすことのできない塾の指導にも、問題が有ることが明白だからです。


まとめ

  • 体験授業は、3日以上は参加して、宿題などにはしっかり取り組むこと

  • 友達の通塾はできるだけ避ける。

  • 友達と通塾する場合は、その友達と競い合うのでなく、同級生全体での自分の位置を意識して、その向上に努める。

  • ”当面の目標”を親子間の話し合いで決定して、共有する。

  • 親は、”当面の目標”の達成を第一義とせず、子供の学習生活の変化を何よりも求めるべきである。

  • 学習生活の変化は入塾後2・3か月のスパンで確認し、その後も観察を継続することが大切。

  • 子供の変化が感じられないときは、退塾や転塾も検討すべし。


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