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  • 執筆者の写真EXE Gakuenkai

入試に出るあめつちの事1

更新日:2023年11月16日

プロローグとして


 コロナの流行以前、僕の塾では「入試に出る社会科見学」という校外学習会を実施していました。楽しいばかりの学校の社会科見学とは一線を画すべく、中学・高校受験の問題に直結するような見学地を選定して、フムフムとメモを取り、写真を撮りながら見て回りました。国会議事堂、気象庁、財務省、外務省、農林水産省、最高裁判所、日本銀行などで対応してくれた方々は、ちっぽけな塾の15人弱の集団にも関わらず、思いのほか丁寧に対応していただき、感激しました。

国会議事堂の前で集合写真
2017年「入試に出る社会科見学」

 思い出深いのは、桜田門で、歴史上の大事件をまさにその現場で体験してみようと「桜田門外の変」の寸劇にチャレンジしたことです。チャレンジと言ったって、サラリーマンや観光客が行きかう昼日中、周囲に迷惑が掛からないように、ボリュームを極力下げて、スローモーションで、ひたすらにこぢんまりと演じたわけです。

 子供たちは「バーン!(斬りこみ合図の銃声)」「ささげまする(直訴のそぶり)」「おぬしらは何者」「天誅でござる」とささやくような声で、しかもスローモーションで、健気に演じています。僕は、そんな子供たちを見て、なんだかどうしようもなく可笑しくなってきて、涙を流しながら、声を殺して笑い、身をくねらせたのでした。それが子供たちにも伝染して、皆クスクス笑いはじめ、やがて泣き笑いに変わっていきました。涙交じりの大老・井伊直弼は何度斬られても一向に絶命しません。かくして、物音立てないスローなチャンバラは延々と続き、いつしか僕たちの気分は万延元年(1860年)へとタイムスリップしたのでした。

 そしてついに大団円、しぶとい直弼もようやく観念し、斬首されるに至ったのです。そのときです、刀を首に当てられた小学6年の少年・井伊直弼は、あろうことか耳をつんざくほどの断末魔の叫びを上げたのでした。そのときの彼には、完全に彦根藩主にして江戸幕府大老・井伊掃部守直弼(いいかもんのかみなおすけ)が憑依(ひょうい)していたのであって、「日本の明日を想って開国した余(よ)を、何故かような目に…」との無念が叫びとなって表れたのでしょう。天高く晴れ渡った秋のお濠端に響いたその奇声は、一瞬のうちに周囲の耳目を僕たちに集中させたのでした。少し離れたところにあった交番からは、おまわりさんが2人、3人と飛び出してきてこちらの様子を伺っています。その向こうには巨大なアンテナが屋上に敷設された警視庁のビルが鎮座しています。彦根藩の家老であった僕は、(これは一大事!)と、とっさに少年直弼の頭を自分の胸元に抱え込み、「殿の首は誰にも渡さぬ」という体で、すごすごと桜田門をくぐり二重橋方面に退散したのでした。


 はて、何の話だったか?……そうそう社会科見学の話でした。他にも、気象庁を見学中に本当に地震が発生して、それに対応する職員の方々の統率の取れた行動を見学したこともありました。僕の企画した「入試に出る社会科見学」が子供たちの社会の成績に直結したかどうかはわからないけれど、子供たちの知的好奇心を存分に刺激することはできたと自画自賛しております。コロナ渦もだいぶ落ち着いてきたので、来年の秋あたりには「入試に出る社会科見学」を再開できたらいいなと思っています。


気象庁の見学写真
気象庁を見学しているときに、ちょうど地震が発生しました。ドキドキ・・・

 さて、今回は、「入試に出る社会科見学」と同様に、僕が長年頭の中で温めていたブログ企画「入試によく出るあめつちの事」に、一念発起して着手することにしたので、そのお知らせです。私塾としてできることのアイディアは湯水のごとく湧いて出てくるのですが、なかなか着手できない愚図な自分を、ホームページを改訂して、ブログ欄を新設したのをきっかけに変えていこうと目論んでいるわけです。


 僕が身の回りで見かけた植物や動物などを中心に、「入試によく出る」という条件でピックアップして紹介するブログです。「あめつち」は漢字で書くと「天地」で、奈良時代の古事記や万葉集にも記述がある大和言葉(中国や西洋の言葉が入る前から日本で使われていた言葉)です。はじめは「入試に出る森羅万象」としたんですが、なんだか音も字づらも仰々しいので、ひらがなで「あめつち」にしました。意味は森羅万象と同じで、「天と地の間にあるものすべて」のことです。 自然、動物たち、木や花や草、風や雨、宇宙…果ては人間の営みをもその一部として考えて、さまざまな社会事象なども含めた盛りだくさんな記事(ブログ)にしていきたいと考えています(自分の首を絞めてるぞー(^^;))。


 どうぞ、よろしくお願いいたします。



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